ダリを巡る旅
来週から新国立美術館で「ダリ展」が開催されます。
私とダリの始まりは、1000ピースのパズルだった。
中学くらいの頃、なぜか我が家にパズルの箱があった。
2匹の白い虎が真っ赤なザクロから飛び出し、
その口から吐かれた猟銃は、横たわった裸婦を狙っている。
なんともエキセントリックな絵に惹かれて頑張って組み立てたものの、
結局頓挫してしまったその絵の作者がサルバドール・ダリだった。
パズルを組み立てながら、実に精密に書き込まれたこの絵は、きっととても大きい物に違いないと思っていた。
ところが、
大学の時、病院実習で滞在したNYのメトロポリタン美術館を訪れた際に、
たまたまダリ展が企画展としてやっていた。私は初めてダリの絵画の実物をみた。
どの絵も私の想像よりはるかに小振りなキャンバスに、
どんな細い筆で描いたんだと思うくらい、実に細かく描きこまれていた。
ダリの、不思議さとシュールさに溢れた病的ともいえる絵は、
あっと言う間に私を虜にし、もっとダリを知りたくなった。
そんな訳もあり、長い卒業旅行の目的地は自然とスペインに決まった。
列車でイタリアからスペインに入り、初めの滞在地はバルセロナ。
ダリが晩年を過ごしたフィゲラスはここから急行で2時間程。
フィゲラスの街は特段見るものもないような、実に普通の町だった。
駅から少し歩くと、卵のオブジェを頭に乗せた建物に出くわす。ダリ美術館だ。
館内はダリの創作の元ともいえる、不思議さに溢れた場所だった。
夕方にはバルセロナに戻らなくはいけないため、2時間程じっくり見学し、
私はフィゲラスを後にした。
あれから17年。
再び、今度は東京にダリがやってくる。
私のダリを巡る旅は、まだ終わっていないのだ。